アメリカ人とのつきあい方 秋葉忠利著

しばらくお休みしていました。
さて、広島市長、秋葉忠利の著書の紹介、第2弾は1989年に岩波書店から出版された岩波ジュニア新書「アメリカ人とのつきあい方」です。

はしがき
 これは、28年前、一年間のアメリカ留学を終え、再び日本での高校生活を始めたとき
に、私が書きたいと思っていた本です。そのとき、アメリカの高校留学体験記を書いてい
れば、 一年間の楽しかった思い出が主になったでしょうし、楽しいエピソードも、もっと
たくさん盛りこめたはずです。28年の間に、そのいくつかは記憶の彼方へ消えましたが、
同時に、28年間の経験が加わり、複数の視点からアメリカを見ることができるようにな
りました。その意味ではプラス、マイナス、ゼロだと言えそうです。
 しかし、この本のテーマは変っていません。ある世代のもつ世界観は、それ以前の世代
にくらべて、ほとんど必然的に、より普遍的になるということです。そして、20世紀末
に近づくにつれ、皆さんの世代、あるいはそのつぎあたりで、世界各国の人々のもつ世界
観がコペルニクス的変換をとげるのではないかと、私は秘かに期待してきたのです。「平た
い地球」つまり、表と裏、善と悪、中心と辺境などのある世界から「丸い地球」、つまり
平和な地球への変化が起るだろうと考えてきたのです。
 そのためには、日本の若者にはアメリカを理解してもらい、アメリカの若者には日本を
理解してもらうことが必要不可欠です。そう考えて、私はこれまで、日米両国の大学で教
鞭をとってきました。この本もその延長線上にあります。
 本書では、日本からアメリカを見るにあたって大切な視点や、異文化を理解するうえで
のヒントなどに焦点をあわせました。いまの日本から見て「こんな可能性だってあるん
だ」ということ、さらに、現在の問題を乗り越えて未来の可能性を信ずることの大切さ、
そして日米の若者が人間的絆で結ばれるために必要な考え方や行動の仕方が読者の皆さん
に伝われば、とても嬉しく思います。
 執筆には、予定以上の時間がかかりましたが、ここまでこぎ着けたのは、ひとえに岩波
書店編集部島崎道子さんのお陰です。また、テープのロ述を書き起してくださった稲垣す
み子さん、きれいなイラストを描いてくださった塩谷博明さんにも感謝します。
   1988年師走 広島で美しい日の出を見ながら
                                       秋 葉 忠 利


広島ブログ
広島という地方都市の市長でありながら国際的な活躍をする秋葉忠利氏の原点。
高校時代のホームステイ体験から、日本とアメリカの若者がお互いを理解し、
交流を深めるための手引きとなっています。