秋葉忠利著書  メモリアル・デー

              アメリカ人とのつきあい方

           3章 アメリカの年中行事

                     メモリアル・デー

 アメリカで夏を予告する休日はメモリアル・デー(戦没将兵記念日)です。もともとは五月三〇日だったのですが、最近は五月の第三月曜日を休みにする州が多くなっています。南北戦争中に南部の婦人たちが戦死者の墓に花を捧げた故事に由来するのですが、最近では南北戦争以後すべての戦争で死んだ人たちの霊を慰める日となっています。
 アメリカの北部ではこのころ長い冬が終わって短い春が訪れています。でも、アメリカの春は不安定です。ひょっとすると冬に戻る気配さえあるのです。しかし、メモリアル・デーを仰えると、緊張を解いてよいのです。たしかに夏がやってくるしるしなのです。もちろん、復員兵たちが中心になって国旗をなびかせ、パレードが行われる日でもあります。
  この日にはラジオ、テレビ、その他で戦争に関連のある特別番組の組まれることがあります。たまたま私は、十年ほど前のボストンで「広島、長崎の原爆投下は正しかったか」というテーマの番組を耳にしました。アナウンサーは聴取者の十人中ハ、九人は広島、長崎への原爆投下は正しいと電話をしてきたと報告していました。
 ボストン市民の反応は私にとって驚きでした。その驚きがもとになって、私はその後、海外のジャーナリストを、広島、長崎に招待し、彼らの経験した広島、長崎像を世界中に広めてもらおうというプロジェクトを提唱し、その手伝いをすることになりました。

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