秋葉忠利著書 独立記念日・レーバー・デー
アメリカ人とのつきあい方
3章 アメリカの年中行事
独立記念日・レーバー・デー
本格的な夏になると、七月四日がアメリカの独立記念日です。クリスマスがアメリカの宗教を象徴する冬のお祭だとすると、独立記念日はアメリカの政治を代表する夏の祝日です。
そして独立記念日には花火がつきものです。町単位に大きな花火をあげ、子どもたちは夜、小さい花火で遊びます。夏の暑い日ですが、友だちを招待して家族ぐるみでバレーボールなどを楽しみ、お腹が減るとバーベキューを囲みます。家族ぐるみあるいは職場単位で楽しむのですが、その輪の真中に高く星条旗のひるがえっている日なのです。
キリストの生れた日であるクリスマスと、アメリカという国の生れた独立記念日が、アメリカでもっとも重要な祝日だということは、アメリカ社会において誕生と独立が大きな意味をもつことの反映だとも考えられます。
メモリアル・デーに始まるアメリカの夏は、独立記念日をピークに、九月の第一月曜日、レーバー・デー(労働者の日)で終ります。他の国では五月一日のメー・デーが有名ですが、アメリカのレーバー・デーでまず頭に浮ぶのは、混みあったハィウェーを、家族を乗せて家に向う、ステーション・ワゴンを運転している疲れきった父親の姿です。
アメリカの一年の節目はこのほかにも多くあります。テレビで放映されるスポーツの種類をめどに季節の移り変りを感ずる人もいるでしょうし、芝生や草花の手入れで時間の流れを知る人もいます。しかし、法律で決っている祝日には、アメリカ人の考え方の最大公約数が表れているように思います。その中心には家庭と宗教がある点はアメリカ的ですが、一方、祝日の多くが戦争にかかわっていること、年中行事の多くが景気や経済活動の影響を大きく受けていることなど、別のアメリカの顔をもうかがい知ることができそうです。