秋葉忠利著書 アメリカ人とのつきあい方 仕事探し

仕事探し

夏休みや冬休み−とくに夏休みが多いのですが−には、高校生のためにいろいろなアルバイトがあります。たとえばマクドナルド・ハンバーガーのようなレストランでのウエーターやウエートレスといった仕事がありますし、一般の企業や官庁などでの書類のコピー係や雑用係といった仕事もあります。夏休みの間にアルバイトでお金を貯めて、大学の学資の一部にする高校生も多いのですが、それを見越して、大人社会の側も高校生のためにアルバイトのチャンスを創り出します。夏休みや冬休みの長期アルバイトも、学校のカウンセラーに聞いたり、新聞の求人広告や店頭の求人広告を見たり、あるいはアルバイトのありそうな企業に直接電話で尋ねたりして探すことが多いのですが、前の年にアルバイトをした先輩からの紹介や親を通しての仕事探しもかなりあります。
 さて、求人広告を見たにしろ、先輩から勧められたにしろ、具休的にはどのようなプロセスで仕事が自分のものになるのでしょうか。たとえば、マクドナルド・ハンバーガーのアーリントン店で掃除係を求めている−それを店頭の貼り紙で知ったとします。まず、その店に電話をかけるか、店頭で、仕事をしたいという意思表示をします。次に、レジメ、つまり履歴書の簡単なものを持って、マネージャーなりアルバイトを雇う権限のある人の面接を受けるのが普通です。レジメにはそれまでの自分の職歴を中心に書きますが、学校
はどこで、どんなクラブ活動をしてきたか、いままでどんなアルバイトをしたことがあるのかなども記します。家事手伝いしかしたことのない人もいるわけですが、それがこれからの仕事にどう役立つかを考えて、自分のPRをするようにします。
 また、これまで働いた経験のある人は、前の「雇主」からの推薦状をいっしょに持って行くか、推薦してくれる人の電話番号を書いておきます。雇う側では、推薦状を読んだり、それでもたりないときには推薦者に電話をして「これこれこういう仕事でだいじょうぶだろうか」というようなことをたずねます。
 推薦する側は、嘘を言わないように、同時に仕事を探している人ができるだけ有利になるように言葉を選びます。雇う側もそれを前提に、何が書かれているかと同時に、書かれていない点にも目を光らせます。
 こうした確認作業は仕事探しだけではなく、大学への入学願書をはじめ、推薦状が必要とされる場合にはほとんど同じです。私がある奨学金の選考委員をしていたときのことです。成績は優秀でしたが、推薦状に「思いやりのある人」あるいはそれに類した表現がまったくない願書のあることに気がつきました。推薦者に電話でその点を確かめると、「思いやりがあるとは言えない。でも優秀な人ですよ」との返事でした。奨学金の条件に、他人への思いやりのある人、という項目があったので、電話での追加データは貴重でした。
  推薦する人が嘘を書かないことは社会全体にとっても、書き手にとっても長期的な利益になります。嘘を書いて「あの人の推薦は信用できない」という評価を受けることは、信用を重んじる社会では致命的だからです。
 家から離れて夏休みや冬休みの長期アルバイトをする高校生もいます。たとえば、夏や冬の観光地にはその季節に、多くのアルバイトが生れます。そこに両親といっしょにやってくる高校生がアルバイトをする場合もありますし、観光地の近くの親戚の家に厄介になりながらアルバイトをする人もいます。こうした高校生にとって、お金を稼ぎながら両親と離れて生活する機会をあたえてくれる夏休みは、とても有意義な季節です。

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