マサチューセッツ工科大学(MIT)教授 マイケル・ダーツゾス2

    ものの本によるとギリシャ人も含めて南欧の人々は背が低いそうだが、そんな先入観を持っ
   てダーツーゾス教授に会うと、まず肛をつぶす・六尺豊かな犬男でヽ葉巻を手にしている姿は
  思素にふけるソクラテスというよりヽ世界征覇の夢を追ったアレキサンダー大王と言った方が
  ぴったりする・それとどれ程関係があるのか定かではないがヽ「少年時代にはアレキサンダー
  王を尊敬していた」そうである。
   いずれにしろヽ生粋のアメリカ人とはずい分雰囲気が違ういながらにして文化と教養がに
  しみ出てくるのである。アメリカ人も文化と教養を持ってはいるのだが、極端な比喩を使って、
  コンピュータ・プログラムという形の教養と、生身の人間の持つ教養ぐらいの差があるとでも
 説明すると、この違いを分かっていただけるかもしれない。趣味は、音楽、大工仕事、ヨット、
 スキーと幅が広い。しかも玄人はだしである。バロック音楽を演奏するボストン・カメラータ
 というグループの一員で、当時の楽器なら何でもこなす。大工仕事も棚をつるなどというけち
 なものではない。化学の博士号を持つ奥さんとメイン州に自分で納屋付きの農家を建てている。
 その他にも家具やキャビネットを作るという・とにかく、口八丁手八丁である。アメリカ人の
好む表現を使うと、ルネッサンス的人間ということになる。バランス感覚の豊かな人でもある。
The Computer Ageこうしたダーツーゾス教授の人柄を反映してか、幅広くかつバランス
をつなげることは利益に結びつくだろうし、これにオフィス・オートメーションが加われば鬼
に金棒だ・これが発展して企業同士のネットワークになった時点で問題が生じる。GMと
U・Sスチール社だけがコンピュータで結びついているのならよいが、100社も1000社もが
 参加してコンピュータ・ネットワークができると、これはもう一つのぼう大な電気回路という
 ことになる。ということは、この回路用のプロダラムを作って、回路を操作できる可能性も大
 ありだということである。夜陰に乗じて回路を操り、秘密情報を手に入れることもできる。こ
 うして集めた情報が犯罪に使われないという保証はまったくない。政治的な影響もある。例え
ば、『左翼系の人間が15人以上どこかに集まった時に通報せよ』といった命令を出すこともで
きるからである。

         将来のコンピュータ社会を守るには

「私が心配なのは、誰も気がつかないうちにこうした事態が進展しているのではないかという
ことである。それはアメリカ人の法律・政府嫌いということに根差しているのかもしれない。
つまり、自由な経済活勣の分野には、政府が□出しをすべきでない−−−−−別の言い方をすると、
儲かるという条件が満たされれば何でもしてよいし、また何でもする−−−という態度があるか
らだと思う。
 そこで私が今、頭を痛めているのは、いったいどういう法律を作ったらよいかということ。
それと同時に、人々の目を覚ますのにはどうしたらよいかということである。テクノロジー
いう観点からすれば、今の時点で、将未の濫用を防止し得る歯止めを組み込まなくてはならな
いと思う。1988年に大きな犯罪が起こって、それから『さあ、どうする』では遅いのだ」
−−−−この事に関して議会で証言したと聞いているが、その内容は?
「主にに法律的なことだが、まず根底に、情報はただであるという観念のあることを指摘した。
これが変化していることもたしかである。情報市場とでもいうべきものができつつある。例え
ば、ニューヨーク・タイムズ社のデータバンク・サービスやレキシス(Lexis)社の法律専門家
用のデータ・サービスなど、情報が価値をもって売買されるようになってきている。このよう
な変化に対応し、将未の犯罪を防止することが問題になってくるが、次のような点で立法借置
が必要だろうという私見を述べた。

1、情報をどの程度まで商品として扱うべきかという基準を設ける。
2、プロダラム著作権を守る。
3、コンピュータ・ネットワークを規制する。
4、コンピュータ内の機密情報が改変されるたびに、白勤的に記録が残るような装置の設置を義務づける。
5、ある種の情報は、一定期間後破壊することを義務づける。
6、決してコンピュータに記憶させてはならない情報の基準を設ける。
7、電子郵使などで他人を詐称できないような、あるいはしにくくなるような規制を行う。
8、無許可で情報を取得できないような、あるいは取得しにくくなるような規制を行う。
9、コンピュータ犯罪と単なる誤りとの区別を明確にする。
 今後の20年に、こうした問題を真剣に考えていかなくてはならないが、われわれのほとん
どが、まだ事の重大さに気づいていないように思う」
−−−具体的にはどういう形でこうした問題に取り組んでいくべきだと考えているのか?
「政府に、情報のことを一手に扱う機関を作る必要があると思う。ある程度の規制も行い、調
査・研究活勤も行える機関である。この種の機関の前例としてはNRC(原子力規制委員会
がある。しかも、世界各国でこうした機関ができ、国際協力をすることが重要である。従未の
商品と違って情報は、はるかに勤かしやすい。情報を商品とする多国籍企業の問題も出てくる
からだ」

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