マサチューセッツエ科大学(MIT)教授 ジョール・モーゼス1

        コンピュー・サイエンスの預言者”モーゼ”
マサチューセッツエ科大学(MIT)教授
ジョール・モーゼス
Joel Moses
 1941年に現在のイスラエルで生まれ、13才でアメリカに移住。コロン
ビア大学卒業後、MITから1967年に博士号MITの助教授、准教授を
経て1977年に教授。現在はMITの花形学科である。”電子電気工学・
コンピュータ科学”の主任。専門家システムの草分けであると同時に
VLSIの強力な椎進者。数学・科学教育にも一家言を持ち、最近アメ
リカで変わりつつある科学教育政策への影響力も大である。


モーゼとモーゼス:預言者

MITのコンピュータ科学研究所副所長のジョール・モーゼス教授は、ダーツーソス教授(前
章参照)と共にThe Computer Age(『ザ・コンピュータ・エージ−−−二〇年の展望』)の編者
であり、コンピュータについての知識の普及にも力を入れている。

 モーゼスは Mosesと書き、聖書の十戒で有名な予言者モーゼの英語名である。本人はもちろ
ん、MITの学生たちもそのことは十分承知しているようだ。その証拠に、研究所会議室の壁
には、歴代の所長の写真と共にモーゼス教授のカリカチャーが掛けてある。ユダヤ人の指導者
モーゼが、シナイ山上でエホバから十戒を授かった後、山を下って来る姿である。学生の手に
なるものだそうだが、単なるゴマスリではあるまい。モーゼス教授への親しみと敬愛を表わし
たものと見るべきだろう。モーゼス教授も大預言者に擬せられ、満更でもない様子であった。
となると、この類推をもう少し続けてみるのも一興であろう。
 モーゼは山を下りて、神の言葉である十戒を広く人々に知らしめた。モーゼス教授も象牙
塔から出て、誰にでも分かりやすいコンピュータの本を編んだ。だが、内容については単純な
類推が利かなくなってくる。例えば、十戒では冒頭の部分で唯一神への信仰を要求しているの
 に対し、『ザ・コンピュータ・エージ』では、現在のコンピュータ・サイエンスのあり方に疑問
 を持つ人々の批判をも取り入れているからである。

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