マサチューセッツエ科大学(MIT)教授 ジョール・モーゼス13

最後にご家族について。

「妻と双子の男の子の四人家族。子供は三つで、おしっこに行くたびにほめてやっている。双
子はお互い同士のコミュニケーションが多くて、それ以外の人とやりとりをすることが少ない。
それで成長が少し遅いようだ」
 子を思う親の心は万国共通のようである。

    インタビューを終えて
   (一)

まだまだ話題には事欠かなかったのだが、こちらが疲れてしまった。モーゼス教授の所論を
聴くことが主だからと、筆者の意見や反論を差し控えたこともその一因だし、モーゼス教授の
楽観論に少々酔った(毒気に当てられた?)せいもあろう。
 だが、もっと積極的に反論した方が、モーゼス教授の思想をより正碓に理解するためには良
かったのかもしれない。ユダヤ人の議論の仕方では、対立する意見を一つずつ論破していって、
最後に残ったものが真理だと考えるそうである。すると、筆者からの反論が無かったから、モ
ーゼス教授はあまり深いところま言及しなかったのかもしれない。
 MITを出て、チャールズ川洽いに帰途についたが、初秋のハーバードやMITのキヤンパ
スは平和そのものである。こうした環境で楽観論を聞くと、それ以外の可能性はまったく存在
しない気持ちにさえなってくる。だが楽観論の酔いが醒めるに従って、いくつか疑問が頭を持
ち上げてきた。

 十戒の世界、つまり隣人だけを考えていればよい世界、あるいは研究所や大学という狭い世
界では、物事が比較的簡単である(もっとも、それでも十戒は必要だった)。そういった世界に
は日米間の摩擦も、中束や東南アジアの問題もない。
 だが、現代の世界は複雑に入り組んでしまっている。その複雑さを処理するためにコンピュ
ータが必要不可欠とされるときヽ十戒に代わるものヽ論語や仏典に代わる何かも必要になって
くるのではあるまいか。一体それはどんなものだろうか。

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秋葉市長が25年も前にコンピュータ時代を予測して、当時の最先端科学者をインタビューした本です
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