秋葉忠利著書 “顔”を持ったコンピューター 第4章

いまから25年前、当時一流のコンピューター科学者10人に秋葉忠利がインタビューしてコンピュータの未来と人間の将来について書き上げたものです。第4章、建築機械(アーキテクチュア・マシン)グループの若親分、ニコラス・ネグロポンテのインタビューです。


建築機械グループ(アーキテクチュア・マシン)の若親分
    マサチューセッツエ科大学(M‐T)教授       
    ニコラス・ネグロポンテ
       Nicholas P.Negroponte 



   インタビューを終えて
過日、カナダのトロント市で世界未来学会が開かれた。未来を論ずるに当たってヽ悲観論者
と楽観諭者のいることは周知の事実だが、トロント会議でもこの両者の違いがあらためて浮き
彫りにされた。
 悲観論者は、食糧問題、エネルギー問題、南北の問題、軍拡競争などを見てため息をつく。
そして、現在の世界は未曽有の危機に見舞われているという。簡単な解決法も見当たらない。
 一方楽観論者は、マイクロ・エレクトロニクスや遺伝子工学の驚異的な発達が、新しい文明
の夜明けを告げていると考える。これまで人類が経験したこともない繁栄が訪れ、人間の創造
性が最高度に発揚されるとも言う。それにともなって、現在われわれの抱えている問題も自ず
から解決されるということになる。
 ネグロポンテ教授やパパート教授は、後者だと言ってよいのだろう。このどちらの見方が正
しいのか、判定は歴史にゆだねるほかはない。
 ジョン・レノンビートルズの例にも見られるように、個人の創造力が人類のかなりの部分
に深い影響を与えることもある。その反面
国際紛争の巻き添えを食って餓死する子供もいる。
 もっと範囲を狭めて、マスコミのネグロポンテ教授批判、ネグロポンテ教授のNSF批判だ
けを考えても、これには科学技術研究所についての基本問題が係わってくる。つまり、誰が何
のためにどのような研究をどういう方法で行うか、という問題であり、またいったい誰が金を
出し、結果をどう評価し、どのように社会に還元するかという問題である。
 それはともかく、将来計画のうちのいくつかが、NECの援助でメディア・アーツ・アンド・
テクノロジー・センターとして開花し、これまでの研究を分かりやすくまとめた、『ヒューマン・
インターフェース』(日本経済新聞社刊)も出版された。
 当分、ネグロポンテ ″組″ に注目し続ける必要がありそうだ。


広島ブログ
秋葉市長が25年も前にコンピュータ時代を予測して、当時の最先端科学者をインタビューした本です
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