秋葉忠利著書 “顔”を持ったコンピューター 第5章

 いまから25年前、当時一流のコンピューター科学者10人に秋葉忠利がインタビューしてコンピュータの未来と人間の将来について書き上げたものです。今日は第5章、コンピューター付空飛ぶ“ノア”、エドワード・フレドキンへのインタビューです。

   コンピュータ付空飛ぶ″ノア″
MIT教授・ THREE RIVERS COMPUTER CORPORATION 社長 
   エドワード・フレドキン
   Edwerd Fredkin


    高度技術 (ハイテクノロジー) による犯罪防止策     
「未米社会を考える上でもう一つ大切なのは、犯罪の問題である。高度の技術を使って犯罪を
予防したり、犯罪者を管理することについてもかなり考えている。それには、現在飛行機に使
われているトランスポンダーというのを応用する。管制塔のレーダーから電波が出ると、飛行
機に積んであるトランスポンダーがそれをキャッチして飛行機の位置を示す青報を送り返す。
それを解読して、レーダーのスクリーン上には飛行機の位置が示されることになる。このトラ
ンスポンダーを小型かつ軽量化することは簡単だ。腕時計のように身に着けることができるだ
ろう。性能も信頼できる。町の中心から電波を発してその反応の遅れを測るわけだから、1フ
ィートぐらいの誤差で中心からどのくらい離れた所にいるのか分かるだろう。
 さて犯罪者がいたとしよう。罪を犯し、遼捕され、裁判で有罪の判決が下ったとする。裁判
官が刑を言い渡す段階で、徴役1年あるいはトランスポンダーによる身柄の拘束三年というよ
うに、選択の余地を与える。その三年間、犯罪者はトランスポンダーを身に着けるだけで、あ
とは普通の人と同じ生活をする。もちろん、同様な刑に服している人間同士が接触することは
許さないし、社会一般の理解が進んでこういう人たちに働く場を与えることが前提条件になる。
 こんな提案をすると、それは人権蹂躙だといきまく人も出てくるだろうが、そういう人は刑
務所の内情をよく知らない人だ。刑務所で刑に服すのは単位時間当たりの罰が重いのに対し、
トランスポンダー着装という方決は、単位時間当たりの罰を減らす代わりに期間を長くすると
いうわけだ。その間、犯罪者は社会が期待するような生活を送ることになる。
 彼のプライバシーを完全に取り上げるわげではない。だから、警察官が『今、誰々はどこに 
いる』と聞いてもシステムは答を与えない。だが、どこかでひったくりがあったとする。仮に
トラスポンダーを着けた犯罪者がそこに居合わせたとすれば、このシステムは『誰々がそこ
にいた』と報告する。だから小犯罪には于を出さないことになって再犯が減る。あるいは毎日
のスケジュールをきちんと決めて、たとえば昼は働き夜は学校に行くことを強制する。これか
ら外れた時は刑務所に送る。
 これを実行すると、社会はかなり変わるだろう。まず裁判官が罪人を釈放することが少なく
なる。ひいては犯罪が減る反面、国家が全国民を罪人としてその行動を規制するという使い方
も考えられる。だが、慎重かつ賢明な方法をとることでそれは避けられるだろう」

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秋葉市長が25年も前にコンピュータ時代を予測して、当時の最先端科学者をインタビューした本です
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