秋葉忠利著書 “顔”を持ったコンピューター 第5章

 いまから25年前、当時一流のコンピューター科学者10人に秋葉忠利がインタビューしてコンピュータの未来と人間の将来について書き上げたものです。今日は第5章、コンピューター付空飛ぶ“ノア”、エドワード・フレドキンへのインタビューです。

   コンピュータ付空飛ぶ″ノア″
MIT教授・ THREE RIVERS COMPUTER CORPORATION 社長 
   エドワード・フレドキン
   Edwerd Fredkin


     未来を指し示す文書

 フレドキン教授の描く未来像はある程度判明したが、やはりいくつかの疑問点が残る。
・・・・・現在、世界中の核兵器を合わせると地球を全滅させるのに必要な量の30倍から50倍
になると言われている。核戦争後に世界が存在し得るかどうかが問題なのではないか。すると、
核戦争の起こるのを待つのではなく、核戦争を防止することの方が大切ではないのか。
 「もちろん、核戦争なしで世界の平和が達成されればそれにこしたことはない。だが米中ソ間
で核戦争があっても、かなりの人間が生き残ると思う」
 ・・・・・・国際警察にしても犯罪の問題にしても、仮定を満たすことの方が大きな問題なのではな
いか。例えば、国家の主権を放棄すると、いってもそれができればあとは簡単で、今の状態か
ら世界中の国が主権を放棄し地球国家いったものを作る状態へもっていくまでが中心問題な
のではないだろうか。
 「そういった細部についてもすでに検討ずみだ。まず、目的とする状態に至るためにはどうい
うことをする必要があるのか、誰かがその各段階を詳しく記述した論文を書く必要がある。し
かもこの論文には、説得力があり、多くの人が読むようになることが大切だ。人間社会の行く
末を指し示したこのような良い計画が、誰にでも読める形でとにかく長い間人目に触れるとい
うだけで、かなりの影響力を期待できるのではあるまいか。ごれまでにも、『これこれが起こる』
と述べた人がいたために実際それが起こったことも多い。
 同様に世界核戦争後のプランは、こういうものだということが世の中に広く知られれば、そ
の戦争の終わった後に『二度とこういうことをくり返してはいけない』という気持ちからプラ
ンを実行することになるだろう。その一環として例えば、アメリカが国家主権を放棄すること
にもなろう」
・・・・・歴史をふり返ってみると、『聖書』とか『論語』あるいは『資本論』とか、人間ならびに
人間社会の今後のあり方を述べかつ広く読まれたものはたくさんある。しかも、ペストとか自
然の災害、長期にわたる戦争など、「これを再びくり返してはいけない」という気を人間に起こ
させた事件はゴマンとある。にもかかわらず ″ 理想社会 ″ は達成されていない。これから誰か
が書くものが成功する保証があるのだろうか。
 「大切な点は、多くの人がこれを核戦争後のプランとして受け入れることだ。イランやポーラ
ンドを見れば分かるように、多くの人が同じ気持ちになれば、シヤーでも政府でも何もできな
い。そこへ核戦争が起これば、国家主権を放棄することに必ずつながっていく」

広島ブログ
秋葉市長が25年も前にコンピュータ時代を予測して、当時の最先端科学者をインタビューした本です
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