秋葉忠利著書 “顔”を持ったコンピューター 第7章

いまから25年前、当時一流のコンピューター科学者10人に秋葉忠利がインタビューしてコンピュータの未来と人間の将来について書き上げたものです。今日は第7章、ロジャー・シャンクへのインタビューです。

          人工知能に賭けるエールのボス
    エール(YALE)大学教授  ロジャー・シャンク Roger C. Schank

 
        シャンク教授の横顔    

 だが、ロジャー・シャンク教授のような強力な援軍が現われれば、通訳教育はずっとやりや
すくなる。それどころか、シャンク教授の夢が実現すれば、翻訳・通訳などは全部機械に任せ
るということにもなりかねない。その暁にはご “ 通訳教育 ” の意味も変わって、機械翻訳の性能
を上げるため機械を “ 教育 ” することになるのかもしれない。だいぶ前置きが長くなったが、
パーリス教授に引き続き、同じくエール大学の教授で、コンピュータによる自然言語理解の研
究者として高名なロジャー・シャンク博士の横顔を御紹介したい。
 シャンク博士は、1946年のニューョーク生まれ。アメリカでは、この年頃で教室主任に
なる人も多いからそれほど驚くべきことでもないが、現在エール大学のコンピュータ科学教室
主任である。高校まではずっとニューョークに住み、大学は1966年にピッツバーグ市のカ
ーネギー工科大学(現在のカーネギー・メロン大学)を卒業。専攻は数学とコンピュータ科学。
 「サボッてばかりいたから、当時カーネギー工科大学にいたパーリス教授もよく知らなかった」
そうである。
 大学院はオースチン市にあるテキサス大学に移り、言語学の分野で修士号と簿士号(ph.D
を受ける。正式の卒業は1969年だが、「Ph.Dは最低3年在籍しないともらえない」という
規則があったためで、論文そのものは2年間で完成したそうだ。1968年からはスタンフォ
−ド大学で研究に従事し、1973年から74年の1年間のスイス生活に続いて、1974年
の秋からエール大学に移り、1976年には正教授になっている。若くしかも飛び抜けて頭が
よい人だということは聞いていたが、そればど若い感じでもない。かえって、第4章で紹介し
たMITのネダロポンテ教授の方が若く見えるほどである。だが早ロである。MITのモーゼ
ス教授(第2章)と同じく、ニューヨーク出身のユダヤアメリカ人だといわれると、「なるほ
ど」と思える雰囲気の持主でもある。スイスに住んだことがあるという点では、MITのパパ
ート教授(第3章)とも共通点があるのだが、どことなく垢抜けしているのはなにが原因なの
だろうか。


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秋葉市長が25年も前にコンピュータ時代を予測して、当時の最先端科学者をインタビューした本です
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