秋葉忠利著書 “顔”を持ったコンピューター 第8章

いまから25年前、当時一流のコンピューター科学者10人に秋葉忠利がインタビューしてコンピュータの未来と人間の将来について書き上げたものです。今日は第8章、ソフトウエアの3・4・5です。


        コンピュータ科学の演出家

米国海軍研究所情報科学部長 マービン・デニコフ Marvin Denicoff




 3データベース中の誤りの発見と訂正

「次にデータベース中の誤りも重要な研究対象になっている。入力の段階でデータが抜けたり、
無いことまで入ってしまったり、数宇の順序が狂ったり、一部だけ欠落したり、関連事頂の誤
り・・・・・ある部品について品番と品名が一致しないような誤り・・・・・などが考えられる。これに
対処するためには、統計的な方法が有効である。あるいは、ターミナルが誤りの回数とか傾向、
その与える影響などを憶えていて、ューザーに警告を出すことも考えられる。大きな影響を与
える誤りと小さい誤りとを区別して、少々の誤りは許しても、大きなものは受け付けないよう
にすることもできるだろう。こんな誤りがあるから、ほかにもこれこれが誤っているのではな
いかという可能性の指摘も大事だ。あるいは入力されたデータ源を伝えることで、その信頼度
を示すこともできるだろう。入力者のクセを憶えて、この人はこんな誤りをよくするといった
知識をコンピュータが活用することなども将来できるようになるかもしれない」


 4言請の開発

「言語開発といっても、新しい言語を創り出すことに関心があるのではなく、言語開発の科学
的基礎に重点を置いている。言語の持つべき性質はどんなものか、言語を評価するのにはどん
な方法が適切かといったことである。1950年代から言語の開発に力が入れられたが、今や
ONRに提出される研究計画の中にも、毎月一つは新しい言語を創るためのアイデアか述べら
れている。それが真に創造的なアイデアで、コンピュータ科学に寄与し得るものなのかどうか
を判定しなくてはならないからだ。ADAについても、その開発は手がけなかったが評価はこ
こで行った。



 5プログラミングの環境 

「プログラムをする際に、その環境はどういうものが最遭かという問題だが、ソフトウエアの
道具としてはどんなものが使えるかといった面から、マネジメントの領域に入る問題、例えば
仕事をどのように提示すべきか、あるいはプログラムをどう実行すべきかといったこと、さら
に仕事の順序に優先順位のようなものをつけることで、能率を最適化するようなアルゴリズム
の開発、といった幅の広い問題になってきている。
 プログラムと機械の構造が分かった上で、記憶とかCPUなど限られた〃資源〃を補完的に
使い、スループット(生産量)を最大にするような数学なり形式なりについても研究が進むだ
ろう」



広島ブログ
秋葉市長が25年も前にコンピュータ時代を予測して、当時の最先端科学者をインタビューした本です
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