アメリカ人とのつきあい方 1サマーズ家の日々

夕食時
 夕食前には、子どもたちがテーブルをきちんとセットすることになっていました。家庭に
よっては、もちろんダイニング・テーブルがいつも出ているところもあるでしょうが、それ
ほど広くないサマーズ家では、まずダイニング・テーブルを部屋の真中に据えます。そして
テーブルクロスとテーブルが傷まないようにその下におく厚手の下敷きを敷いて、フォーク、
ナイフ、お皿などを並べます。
 食事の時間直前まで待つ必要はないのですが、古今東西、子どもにとって家の手伝いは、
できるだけ先に延ばしたいものの一つです。マムの「もうそろそろ並べてちょうだい」と
いう催促で、いやいやながら腰を上げるのが常でした。
 もちろんダッドが手伝うこともあります。それから最近、とくに夫婦共稼ぎの家庭では
料理を夫婦が分担するところもふえています。しかし、1960年代には・・・いまでもこ
ういうやり方のほうが多いと思うのですが・・・料理はお母さんの役割で、食卓の準備と
食後の皿洗いは子どもとお父さんの担当という家庭が大多数でした。
 食事が終ると、皿洗いはスティーブと私が毎日、交代でやりました。皿洗いの要領もよ
くなりましたし、習慣になってしまったせいか、いまでも食事のあとに自分で皿を洗わな
いと気持が悪いほどです。
 昨今は自動皿洗い機が普及しているので、こんなことを気にしなくてすみますが、食卓
から台所まで皿を運ぶにしても、なにを食べたかによって皿を重ねるかどうか考えます。
ステーキのような油の多い料理の場合、その油を別の皿の底につけると、洗うときに一手
間よけいにかかるからです。
 アメリカ人は毎日ステーキを食べていると考える人はいないでし。うが、ほとんど毎日、
どんな形かで肉が出てきました。ロースト・ビーフのときもあり、スパゲッティーにミート・
ソースの場合もあります。ミート・ローフやチキンの揚げ物のこともあります。いちばん
多かったのは、値段が比較的安く、手軽なチキンでした。たまには魚のこともありま
した。それに煮た野菜が一つか二つ、サラダ、ポテトかパンというのが典型的な献立です。
トウモロコシやおコメが、野菜の一種として扱われていたのにもまごつきました。
 でも、そのころ、私がいちぱん好きだったのはハンバーガーです。それも厚い肉にトマ
トとレタス、玉ネギをのせ、ケチャップをドロドロとかけたやつ。学校のキャフェテリアでも、
友だちの家のピクニックでも、まずハンバーガーを探しました。食べるときには、汁や
ケチャップがたれて、ナプキンが何枚も要るのですが、それでもホット・ドッグやチキンに
くらべて、ハンバーガーのほうが格段においしい食べ物だと思いました。
 「ピクニック」とは、食べ物を持って公園や海、その他の景色のよいところに出かける
ことですが、アメリカ人はとてもピクニックが好きです。外で食事ができる季節には、親
しい家族同士、教会やPTAの集りなどで、毎週のようにピクニックがあります。屋外で
料理をするので、クック・アウトということもあります。ピクニックをする場所の近くには、
バレーボールやソフトボール、たまにはスクエアダンス場などのあることが多く、食事の
前後にみんなで楽しみます。天気が悪いと中止になりますが、曇天くらいなら決行し
ます。アメリカに着いて一月くらいたったとき、こんな曇天のクック・アウトがありました。
途中から雨が降り出し、しばらくすると「トーネード・ウォーニング」(龍巻警報)が
出て、ほうほうの体で帰るはめになりました。

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