*アメリカ人とのつきあい方 1サマーズ家の日々

未成年の飲酒
 たとえば、私の家の真向いには、プラマー一家が住んでいます。プラマーとは家庭の
ガス・水道設備の配管や修理などを専門にする仕事です。手作業で時間のかかる
仕事ですから収入は悪くありません。プールもあり、かなり裕福な家庭です。
そこに女の子が二人、男の子が三人いました。
 数年前、最年少の男の子クリスがちょうどティーンエイジャーになったときのことです。
当時アメリカで飲酒が許可される年齢は法律で18歳と決っていました。クリスがちょう
ど15歳になったとき、友だちを家によんで誕生日のパーティーをすることになりました。
そのときに隣近所で話題になったのは、クリスの誕生パーティーにビールを出してもよい
ものかどうか、両親が頭を悩ませているということでした。もうその頃には、ティーンエイ
ジャーの飲酒は社会全体に広まっていました。もちろん法律上、15歳の子どもがビー
ルを飲むことは許されません。しかし、15歳になれば、ほとんどだれでもビールくらいは
飲んでいるという状態でした。少なくともクリスの友だちのなかでビールを飲まない子
どもはいなかったようです。
 親としてはビールを出したくなくても、パーティーの会場にビールがなければ、子ども
たちはパーティーを抜け出して、外で親に隠れて飲むことができるのです。車を運転して
家から離れたところに行って、ビールや酒を飲んでまたパーティー会場に戻ってくるような
ことになるのです。そうすると飲酒運転になって危い。あるいは悪い仲間につかまる第
一歩になるかもしれない。そう考える親も多くいます。どうせ禁止してもどこかで飲むの
なら、うちのなかで飲んでもらって、少なくともそこには親がいてきちんと監督したほうが
いいのではないか。車を運転するのはだれと決めておいて、彼あるいは彼女はビールを
飲まないように監督したほうがいいのではないかと考える人もいたのです。良し悪しは別
として、これはとてもアメリカ的で現実的な考え方だと思います。結局、クリスのパーテ
ィーではビールを出したそうです。


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