秋葉忠利著書  ベテランズ・デー

             アメリカ人とのつきあい方

            3章 アメリカの年中行事

                     ベテランズ・デー

 十一月十一日にはベテランズ・デーのパレードがありました。兵隊さんたちが中心のパレードでしたが、それはこの日が、復員軍人記念日だからです(復員兵のことを英語でveteranといいます)。第一次世界大戦が一九一七年十一月十一日午前十一時に休戦した記念日です。もともとはArmistice Day、つまり
休戦記念日として第一次世界大戦の休戦だけが対象でしたが、一九四五年以来、すべての復員兵、復員軍人の日としていろいろな戦争でたたかったアメリカの元兵隊たちの努力を顕彰する日としての祝日になりました。
 それ以前にも戦争があったのに、なぜ第一次世界大戦のあとにはじめて休戦の日がもうけられたのでしょうか。それまでのアメリカは世界の人たち、世界中の国々と自分たちとはあまり関係がないのだ、世界のほかのところにも干渉しないから自分たちにも干渉はしてくれるなというモンロー主義、あるいは孤立主義とよばれる政策をとっていましたが、これが第一次世界大戦によってくつがえされたのです。第一次世界大戦ではその原則を捨てて、アメリカの外であるヨーロッパの戦争にアメリカが加担をしたかたちになったからです。
 参戦の理由は「すべての戦争を終えるための戦争」という歌い文句に簡潔に盛りこまれています。さらに「民主主義をもっと安全にするための戦争だ」ともいわれました。孤立主義を捨てるためには別の大義名分が必要だったのです。同時に、それまで大きな戦争に参加したことがなかったアメリカが世界的な戦争に巻きこまれ、その結果、アメリカという国そして社会全体が疲れたことも事実です。だからこそ、アメリカの市民にとって休戦がひじょうに大きな意味をもっていたのです。



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