秋葉忠利著書  感謝祭

              アメリカ人とのつきあい方

            3章 アメリカの年中行事

                     感謝祭


 十一月の第四木曜日、日本だと勤労感謝の日のころですが、感謝祭Thanksgiving Dayがあります。ふつう、一六二〇年にメイフラワー号でプリマスに着いた清教徒たちが困難なひと冬を過した後、インディアンがトウモロコシ(インディアン語で「メーズ」といいます)の作り方を教えてくれたため、つぎの年には多くの食糧を得ることができ、はじめてアメリカに定着する自信が生れたといわれています。そのインディアンヘの感謝をこめて自分たちの収穫物、そして獲物を食卓に並ベインディアンを招待したのが感謝祭の発祥だと私たちは聞いています。
 感謝祭の日には七面鳥をオーブンで焼き、昼のディナー、大きな食事のメイン・ディッシュとして、家族や親しい友人たちといっしよに食べるのです。七面鳥クランベリーという赤いイチゴの一種からつくったジャムのような甘いソース(クランベリー・ソースと呼ばれます)をつけて食べるのがアメリカの伝統です。私は七面鳥といっしょに出てくるスタフィングが好きです。これは数種類の野菜、肉のばらばらになった部分、内臓などを混ぜて七面鳥のなかに詰めて焼いたものです。カボチャもありますし、フルーツ・ケーキも食べるのですが、トウモロコシは季節はずれなのでどちらかというと、飾りとして使われます。
 七面鳥はクリスマスのディナーのメイン・ディッシュでもあるのですが、食べることが中心になるサンクスギビングでより大きい役割をはたします。清教徒たちは、七面鳥の飼い方もインディアンから教わりました。七面鳥は育てやすいので、当時のアメリカ人の主要な蛋白源になりました。ただし、あまり頭の良い動物ではありません。アメリカが独立したころ、ベンジャミン・フランクリンが、七面鳥アメリカの国鳥にしようと提案したのですが、頭が悪すぎるから駄目だという理由で反対する人が多かった−そんな記録も残っています。
 サンクスギビングの日はもちろん休みになります。木曜日なので金曜日に休みをとって、土曜日曜とあわせて四日間の休みを楽しむ人たちがずいぶんいます。
 サンクスギビングからクリスマスまで、ほぼ一月あるのですが、この間に、その年のうちにどうしてもしておかなくてはならないことをなんとか終らせたり、クリスマスの準備をしたりで、とても忙しい一ヵ月になります。



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